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あるシナリオ作家のおピンクな日々 第2回 【ロケセット】 

2013年03月15日 10:16

ピンク映画のシナリオライターをしている鎌田一利氏から、ピンクなコラムを書いて頂けることになりました。
あまり知らない、ピンク映画業界の、ディープなおもしろ裏話などを書いてもらいますので、お楽しみに。



【ロケセット】

ピンク映画の製作予算は極端に少ないです。ピンク映画が誕生して半世紀が経ちましたが、
昔から300万円映画と言われているように、今でも予算は同じくらいの額です。

フィルム代(いまだピンク映画は35ミリフィルムで撮影しています)やらキャスト、スタッフ等の人件費を引くと、
あまり製作費が残りません。それでも必要となってくるのがスタジオ等のセット費です。
そんなわけで安いスタジオを探すわけです。

ピンク映画にはお馴染みのテーマである痴漢電車物を撮る時には、電車のセットがあるスタジオを借ります。
これなどは割にセットが多くて、見つかりやすく、借りやすいのです。
しかし監督によっては、スタジオでは出せないナマの生活空間の雰囲気がどうしても欲しいという場合があります。
そんな時は、実際の家や部屋を借りるケースがあります。
ただピンク映画となると、どうしてもエロが絡んでくるので、
イメージが悪くなる印象があり借りるのが難しい事がむずかしいので、
多くは「自主映画」とか、「テレビの深夜番組」とか、偽って交渉します。
なので簡単にピンク映画でも抵抗なく、セットを借りるたのみの綱になるのは、スタッフやキャストの部屋等です。
実際ある民宿物を撮影した時は、主演女優さんの実家が旅館を営んでたので、そこを借りて撮影したり、
バーのシーンでは行きつけのバーを使用したとか、何とか安く、また理解ある人の協力を求めて探すのです。

実は私の部屋もロケセットとして、ピンク映画の撮影に提供しています。
私の住んでいる部屋はいわゆる昭和の雰囲気を持っている造りのようで、
最初に使って下さった監督が気に入って下さり、その他の監督も含めて10回以上、
映画のロケセットとして使用されました。
普通に木造アパートの6畳の空間で、特徴としてはでっかい本棚が部屋を占拠しているだけの部屋なんですが、
住んでいる住人には気づかない良さが、他の人にはあるようで、
撮影に何度か来た女優さんは「ここに来ると落ち着く」とまで言ってくださっています。

ちなみに、これまで私の部屋は、
「気の違った女の部屋」
「売春親子の部屋」
「若い同棲カップルの部屋」
「漫才コンビの部屋」
等などとして使用されていて、その使用意図の幅の広さに自分で驚いてます。
自分の部屋が、ちょっとした物の配置替えやキャメラの撮影位置により、
映像の力で全く別の部屋に見えるのは面白くてたまりません。

もちろんピンク映画ですから、絡み、セックスする場面を撮影することがあります。
女優さんも男優さんも、その場面になると実際しているように「アッハーン」「いくう」とか、
喘ぎ声を発して演技します。
役者さんは真剣ですから、その声が外に洩れてしまうことも度々。
そしてある撮影時、撮影部隊が朝8時に到着しセッテング。さぁ撮影開始! となりました。
私の部屋の前には撮影機材や衣装箱等がゴロゴロ置いてあり、普段は見ない男女の集団が群がっている。
という、少し異様な感じになっています。
そして部屋からは、女の人の喘ぎ、呻く声が大きな声で聞こえてきます、
それも午前中のまだご近所の皆さんが朝ごはんを食べて、一息ついたような時間帯に。
すると、やっぱり来ましたね。警察の方。
近所の方が何事か、と思って通報されたようで、白黒のパトカーに乗っていらっしゃいました。
私はハラハラドキドキしましたが、そこは慣れたベテラン助監督さん。
自主映画だとか、すぐ終わるとか、話して、すんなりと警察の方は帰っていかれました。
あの時は、本当に冷や汗ものでした。

その後、ご近所の方が「あの奥の人も変わってるわよね」という言葉を耳にした時、
私は「変人に思われているんだろうな……」と、心の中で呟きました。

そんなロケセットを借りるのにも四苦八苦しながら、ピンク映画は今日も製作されています。
ぜひ皆さんも劇場やネット配信、DVD等でご覧ください。



筆者○鎌田一利 

高校2年の時、日本映画史に残る大名匠・木下恵介監督が講演会にて私のファンレターを読みあげ「熊本の少年に幸あれ!」と仰ってくださるも、何処で道を違えたか、ピンク映画、B級SFホラー映画(特にメキシコ&スペイン物)、古い邦画(特に大映時代劇)をこよなく愛し、好きが高じて、星野スミレ名義で加藤義一監督「主婦マル秘不倫後ろから出して」(2012 年9月28日公開)というピンク映画でシナリオ作家デビュー。
2013年春には鎌田一利名義で書いた第2作目(加藤義一監督:不倫OL びんかん濡れ白書)が劇場公開!
ピンク映画界の巨匠、池島ゆたか監督より「キネマ怪人」、清水大敬監督から「鎌田金太郎」、加藤義一監督には「しょ~もない映画評論家」という肩書きを頂いた駆け出しのシナリオ作家です。
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