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nutrient

2013年07月31日 23:00

秋侍さまより、イラスト物語を投稿して頂きました。


■1
俺の仕事とは”機械”の管理だ。
その”機械”の清掃、点検などメンテナンスを任されている。
”機械”とは言ったが、それはどう見ても”人間”だ。
前の担当の奴は、こんな秘訣を言っていた。
「これを人と思うな、大切な機械と思え」と。
1ヶ月続けた今、その言葉の意味がよく分かる。
しかし俺はまだ、この狂った場所に完全に馴染めないでいる。

”彼女”の清掃を丁寧に始める。
乳房と肌の一部分を残し、ほぼ全身をゴムの衣装で身を包んでいる。
その格好に、どんな理由があるのか知らないが、2週間はこの状態のままだ。

”彼女”を磨きながら、物思いにふける。
……生きていると言えるのだろうか?
体は固定され、天井からぶら下げられている。

体調の維持は口腔、鼻腔へ定期的に流し込まれる流動栄養食だ。
”彼女”はそれを流し込まれ、己の意思とは無関係に生体活動を維持している。
口内は舌を残し食道の奥にまでチューブが設置されている。
口から出す”もの”のすべりを良くする為だ。
腹部は大きく身篭っているように、膨張しているが、あれこそ正常な状態らしい。
体内に詰め込まれ熟成状態にある”固形物”のためらしい。
あの膨らみこそが”熟成”の証であり”実験”成功の印なのだそうだ。
なにが”熟成”なのかは……。

「おつかれさま、メンテは済んだかね?」
この”実験”の発案者が来たようだ。
「君がこの検体のメンテ役になってから、1ヶ月か、仕事には慣れたかね?」
「ええ、何とか……他では無い仕事内容でしたので最初は戸惑いましたが……」
俺は相手に合わせるように、会話した。
当たり障りがないよう慎重に、それでいて自然にを心がけた。
「”機械”の方も気を使ってくれているのか、暴れるような挙動も無いです」
「それはなによりだ」
発案者の返答……こちらの言動から態度を図っているようだ。
今の職場は狂って入る。だがそれでも職場だ。しかも金が、俄然、良い。
妙な言いがかりや勘所に触れたいという、つまらないことで職を失いたくはない。
「”実験”に協力的なんだね」
「はい、おかげで”青い薬”は使わずに済みます」
「それは大変ありがたい。あれを投与しすぎたから前回の製造機は残念なことに
なってしまった」
「……っと、そろそろ実験の準備をしてくれ、時間だ」
そう言って彼は”機械”の前に行くと、懺悔や後悔の表情を見せるでもなく、
むしろ心なしか楽しそうに”作業”の準備を始めた。
俺は少し目眩がした。

4haisetsu001.jpg




■2
彼の指示により、俺は”彼女”の口腔深く挿入されているチューブを外した。
『! ! ! むぉぉぉっっ!』
直後にその体をぶるりと痙攣させる。
チューブを抜いた刺激により”彼女”は絶頂してしまったようだ。
こんな刺激でイクようになるなんて、いったい”彼女”は何をされたのか……考えたくもない。

しかし”彼女”にとっては、今を生きるのに必要な要素だろうか?
この快楽なしでは、とてもではないが生きていきようがない……のでは……。
生きてるとは言っても”機械”としてだが……。

「00:30をもって第9次”nutrient”実験を開始する。肛門より排泄物混合液の注入開始。
腹部の”熟成物”を押し出すぞ!」
2haisetsu002.jpg



■3
尻穴から低粘度の糞混じりの液体に、固形薬が稀に混ざった排泄物混合液が注入されはじめた。
”彼女”はまた身震いしだした。
元は出すための器官から、無理矢理に誰の物とも知れない、
人糞のまじった混合液を注入されるのは、はどんな気分なのだろう?

俺なら、1度目で気が狂いそうだ。

前に、興味本位で発案者に聞いてみたことがある。
こんな状態でも”彼女”はぎりぎりで意識を保っているそうだ。
いや背徳的快楽を受け入れ、完全には壊れていないそうだ。
倫理観や人道的価値観などを一気に破壊するような行為だが、
”彼女”はそこに逃げ道を見いだすしかなかったのだろう……。

あんな行為を何日も何日も……とても耐えらそうにない。
その上、それを快楽として受け入れているなんて……。
異常すぎる事態を考えると、俺の中のモラルが弾け酸味を帯びた吐瀉物がこみ上げて来た。
俺は必死に口元を押さえながら、入れる前よりも更に膨らんでいく腹に目をやる。
入れることにより、押し出す。理にかなっているが、乱暴ではないか?
”製造機”を大事におもっているような言動をとる発案者だが、実際は反して粗雑。
(研究に没頭しすぎているのか?)
口内の不快感をこらえながら発案者を横目で見ると、
楽しいおもちゃを与えられた幼児のように、純真な瞳を輝かせながら観察している。

その間も”彼女”は腹が膨らむたびに、ビク。ビク。ビク。っと身震いを続けている。
肉体の快楽と精神的なアクメが同時に襲いかかるのだろう。
製造器に改造された”彼女”は、ただただ艶めかしい表情で絶頂の痙攣を続けている。

「そろそろ、口腔から出てくるぞ! ペトリ皿を用意してくれ!」
発案者が熱を込めた指示を出す。その指示に今までの思考を吹き飛ばされ、
”彼女”の口の下にペトリ皿を設置した……。

そして……。
3haisetsu003.jpg



■4
『ぐぼぉぉぉっ、おぉおぉぉぉぉぉっっ! ほごぉぉぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』
”彼女”は口から排泄した。
低粘度の排泄物混合液を注入されたのに、口からひり出すのは液体ではなく純正の”糞”だ。
これまでの快楽による身震いとは段違いの、体全体による蠕動運動といった感じだ。
吊るしてある鎖がカシャ! カシャ! と千切れんばかりに揺れ、
体中の神経が故障したかのような動きを見せる。

『ふほぉぉぉ……ふぅぅぅ……くちょぉ……もにょぉぉぉ……』
少したつと、先ほどの獣のような声交じりの排泄から、
ゆったりと息む排泄に変わってきた。
尿道に付けられている管が黄色くなり、失禁をしたのも確認して取れる。
その顔には、先程とは違い、やや幸せそうに見えた。

何度か体験した光景だが、いまだ異常で吐き気を催す。
だが不思議なことに”彼女”から目が離せない。

口から糞を出す……異常際なり無い行為だが、この”糞”が、ただの”糞”ではない。
研究者曰く、人間を数日持たせるだけの栄養を含んだ、
”栄養食品=nutrient”なのだそうだ。
しかし味噌のような粘度の外観。肉とコーヒーとフルーツを腐るまで煮込んだような臭い。
どう考えてもただの”それ”にしか見えない。
俺は臭いによってより嘔吐感が増し、また口に手をあてる。

将来、人間は危機的な食糧難に陥る。
それを打開するためにもこの研究が必要なのだそうだ。
だからって、なにも”人糞”から”栄養価の高い糞”を造らなくてもと思うのは、
俺が世間を知らな過ぎるからなのだろうか?
それに、なぜ人を製造機に? なぜ口から排泄させるのか?
全ては俺の、理解を超えている。
”彼女”だって、好きでこの様になったのではないだろう。
恐らく……非合法に連れてこられ……無理やりに……。

考えるのはやめよう。仕事を長く勤める秘訣を思い出すのだ。
”彼女”はただの機械なのだ。ただの”製造機”なのだから……。
1haisetsu004.jpg



今回紹介している『秋侍』さんをはじめ、左母次郎さんや、平野月子さん、夢乃夢さんなど、
少しずつ原稿が集まり始めました。
ですが、まだ足りません。三和出版では皆様からの新しい投稿をお待ちしております。
詳しくはこちらをご覧ください。
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