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夜行列車 第四話

2013年12月03日 00:44

左母次郎氏より、新しい絵物語をお送り頂きました。
数回に分けて紹介します。



第四話 『トイレ』

夜行列車4

多恵子は尿意を堪えていた。裸で冷たい床に座っているから体が冷えてしまったのだ。
もはや、それは痛いくらいになっていた。
仕方なく人買いを揺り起こし、
「お便所に行きたいんです」
蚊の鳴くような声で訴える。
だが人買いは舌打ちをして次の駅まで我慢しろ、とだけ言った。

列車の便所に行かせてくれる気はないようだ。
次の駅までどのくらいかかるのだろう。多恵子は必死に太股をすり合わせた。
線路の継ぎ目の振動さえもがつらい。やがて、列車がスピードを落としはじめた。
駅だ。停車するまでの数分がとてつもなく長く感じられた。

人買いは目を覚まし、多恵子を引きするようにしてホームへ降りた。
そして、列車が停まっているすぐ後ろのホームの縁を指差した。こんなところで!?

だがためらっている余裕はもうなかった。
しゃがむと同時におしっこが迸り出る。
膀胱が楽になって行く。
おしっこは列車のテールライトに照らされて、きらきら輝いた。
その時、発車のベルが鳴り響いた。おしっこはまだ止まらない。どうしよう、待って、ほんの少し……。
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