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奴隷への階段 第2回

2014年03月02日 00:13

【マニアック・アーカイブス】
として、数年前に発行した雑誌に使用させて頂いたマニアックな小説を数回にわたり連載させて頂きます。

作/縄次郎氏。絵/かおる氏の書き下ろし女囚小説『奴隷の階段』を全5回にわけて掲載します。



■奴隷の仕打ち

 奈緒子は、一晩、絹紐を解かれることはありませんでした。そうして固いコンクリートの上で眠りました。でも、寝苦しくて何度も寝返りを打ちました。そうして満足に眠れないまま、夜が明けてしまいました。とは言ってもここは陽の差さない地下室です。神崎が地下を訪れ、朝が来たことを告げました。
 奈緒子は、縄が解かれることを期待しましたが、神崎はそうはしませんでした。
「排泄を済ませてください。その間に、食事を運んであげます。それが済んだらレッスン場に移動します。そこで、レッスンを担当してくださる先生を紹介します」
「縄を解いてくれませんか? 腕が痺れて我慢できません」
 昨日、あんなことがあった後で、言葉をかけるのが躊躇われましたが、頼れるのは神崎だけでした。でも、その願いは叶いませんでした。生理的現象は待ってくれません。解いてもらうのは諦め、見るのも嫌でしたが、仕方なく不自由な身を動かせてボウルに近寄りました。
(私、まるで奴隷……)
 そう思うと、悲しくて、再びまぶたが滲んできました。随分泣いたはずなのに、まだ、涙が溢れました。

2-M女図鑑2
(ああ、早く出て)
 神崎が、再び食事を持ってここに下りてくる前に済ませてしまいたいと意識を股間に集めました。こんな姿を見られるくらいなら、死んでしまいたいと思いました。
 ゴーッ。ややあって、尿が一筋の線となって噴き出し、ボウルを叩きました。みるみる、濁った黄色い水が器に溜まっていきました。
「ああ、嫌……」
 奈緒子は顔をゆがめ、終わるのを待ちました。やがて、一滴の水滴がボウルに落ちると、奈緒子は、ボウルを外れました。そして、崩れ落ちるように、ぺたんと尻餅をつきました。
「たくさん出ましたね」
「言わないでください」
 黙って持ち出して欲しいのに、そんなふうに言われて、惨めな気持ちが一層きわ立ちました。身を隠したいほど恥ずかしいのに、両手を固く背中でくくられていて、そこにある毛布を手にすることすらできませんでした。奈緒子は神崎から目を逸らし、じっと耐えていました。
「食事を済ませてください」
 そして、信じられないことを神崎は口にしました。
「手を使わずに口だけで食べられますね?」
(えっ?)
 奈緒子は、丸い目を大きく見開いて、神崎を見ました。
「解いてもらえないのですか?」 
 神崎は、冷ややかな目をして奈緒子を見つめていました。食事はボウルに盛られていました。夕食は、綺麗な器に分けて一つ一つ盛られていました。でも、今、目の前に置かれているものは……。奈緒子は、ボウルの中を覗きました。食パンを小さくちぎり、牛乳をかけただけの粗末なものでした。
(これが、食事……?)
 奈緒子は、気持ちが萎えていきました。
「……食べたくありません」
「昨日も、あまり食べていませんね。食べないと、レッスンで身が持ちませんよ」
「どうして、こんな酷いことばかりするのですか?」 
 奈緒子は、挑むような目をして神崎を見ました。
「あなたは、これからもっともっと惨めになっていくのです。今よりももっと、屈辱に身を震わせることになるでしょう。今起きていることは、その前哨戦と思ってください。これからあなたの身に起きる屈辱的な幾つかのことに耐えることができたなら、きっと素晴らしい、味のある、観る者を魅了する女優になれるでしょう」
「……そんな」
 奈緒子の表情が、みるみる曇っていきました。
(これ以上に屈辱的なことって……何が、私に起ころうとしているの?)
 それを思うと、奈緒子は、とても恐ろしくなるのでした。

■レッスンという名の調教

 レッスン場に移った奈緒子は、一旦、絹紐を解かれました。でも、既に感覚をなくした腕を癒す間も与えられず、すぐさま麻縄で両手を前に縛り直されました。そして、頭上高く引き上げられて吊るされました。顔をしかめるほど、腕と肩が痛みました。
 調教師の下嶋は、鞭を、奈緒子の鼻先に突きつけました。
「まず鞭からだ。怖いか」
 そう言って、鞭の柄で、奈緒子のよく張ったたるみのない尻を触りました。彼女の身体がびくつきました。下嶋は、にやりとしました。
「どこを打って欲しい。言ってみろ」
 そういわれても、奈緒子には返す言葉がありません。鞭を当てられ、恐怖に震えました。
「怖くて声が出ないか? それなら……」
 下嶋は、奈緒子の背中に回ると、鞭を空中で振るいました。ビュンビュンと、空を切る音がしました。奈緒子の耳にも、それは届きました。吊られた両手をきつく握り締め、唇を噛みました。
「打つぞ」
 低い声が、奈緒子に届きました。下嶋は一度、床を打つと、盛り上がった尻をめがけて打ちました。パーン! と小気味よい音が辺りに響きました。
「あっ」
 じん、と痺れました。と、重い一撃が、同じよく盛り上がった尻に飛びました。
「あうっ!……ああ……」
 腰をくねらせ逃れようとする奈緒子に、下嶋は、間髪をいれず声を飛ばしました。
「次は背中だ」
 パシーン! 背中を縦に、鞭の先端が捉えました。激しい痛みに襲われ、いつまでも続くのではないかと思うほど、長く痛みが続きました。苦痛に表情をゆがめる奈緒子でしたが、休むまもなく、鞭に見舞われました。下嶋は、本気で打ってきました。
「痛い!」
 奈緒子は、声を張り上げました。歯を食いしばり、苦痛に顔をゆがめながら耐えました。しかし、下嶋は、手を緩めることはありませんでした。鞭は、的確に彼女の肌を捉えました。
「はうっ!」
 奈緒子は、天を仰ぎました。一瞬、息が止まりました。次の瞬間、口をパクパクさせて必死に空気を拾いました。
「……ああ、はあ、はあ、はあ……」
 やっとの思いで空気を掴んだところを、すかさず鞭打たれました。
「はあっ!……あ、ううう……」
 額に大粒の汗が噴き出ました。
「も、もう……ゆるして……打たないで……」
 息も絶え絶えになりながら下嶋に許しを請いましたが、彼は、怯える奈緒子に手を下ろすどころか、心に火を焚きつかれ、炎と化して一層、手に力が入りました。何度も、何度も、容赦ない鞭を奈緒子の身体に打ち込みました。
「もっと、もっと苦しめ! そして痛みを受け入れられる身体になるんだ」
 そういいながら、再び鞭を振るうのでした。奈緒子は、溜まらず叫び声をあげました。でも、その声は下嶋を狂わせました。。
「あうっ、……んんん……」
 パーン! パシーン! パシッ!
「や、めて……」
 めちゃくちゃな激しい鞭に耐えていた奈緒子でしたが、もうダメでした。ピンと張っていた細い糸がぷ釣りと音を立てて切れるのを感じました。遠くで鞭打つ音を聞きながら、彼女は、眠るように目を閉じるとがっくりと首が折れ動かなくなりました。
「何だ。もう、おしまいか? これからというときに……」
 下嶋は舌打ちをすると、奈緒子をそのままにレッスン場を出て行ってしまいました。


■変わり果てた身体

 気がつくと、奈緒子は、檻に戻されていました。毛布をかけられ、コンクリートに寝かされていました。身体が痺れました。
「い! 痛い……」
 なんとか起き上がった奈緒子でしたが、自分の身体を見て愕然としました。
 なに、これ! 蒼い痣が筋になって無数に張り付いていました。奈緒子は、消しゴムで消すように指でごしごし擦りましたが、痣は、何度も浮かび上がって、もとの姿を現わしました。それでも懸命に、ごしごしと擦りました。でも、一度ついた痣は消えませんでした。涙が滲んできました。
「最初のレッスンは、いかがでしたか?」 
 奈緒子は、ハッとして顔を上げました。 神崎が鉄格子越しに奈緒子を見ていました。彼を見たとたん、涙を拭うこともせずに鉄格子に走り寄り訴えました。
「私の身体を見てください。こんなことが許されるのですか? 何のためにこんなことをするんですか? もう、こんなことは嫌です。今すぐここから出してください」
「出すわけにはいきません」
 そうして神崎は、言葉を続けました。
「まだまだ、つらい目に遭いますよ。この役をしてこられた女優は、どんな屈辱にも耐え、どんなに惨めでも歯を食いしばってレッスンをこなしたんです。そのおかげで演技に迫力が出て、観る者の心を捉え、魅了させました。皆さん、大変な人気女優になりました。大丈夫ですよ。下嶋さんはその道のプロです。痣は、すぐに消えるでしょう。安心してください」
 これが?
 信じられない思いで、身体にできた無数の痣を見つめる奈緒子でした。
「あなたには驚くことの連続でショックが大きいと思いますが、皆さんが通ってきた道です。でも、デビューのことを考えると辛いレッスンも楽しくなると思いますよ」
 神崎は奈緒子の気持ちを考慮して、少しの間、下嶋のレッスンを休ませることにしました。その間ボイストレーニングと台詞のレッスンをするように言いつけ、数冊の本を置いていきました。
「それらの本を読んで、しっかり勉強してください。声は、役者にとってとても大事ですからね」
 そう言うと神崎はまた地下牢を出て行ってしまいました。
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