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奴隷への階段 第3回

2014年03月25日 00:19

【マニアック・アーカイブス】
として、数年前に発行した雑誌に使用させて頂いたマニアックな小説を数回にわたり連載させて頂きます。

作/縄次郎氏 絵/かおる氏のの書き下ろし女囚小説『奴隷の階段』を全5回にわけて掲載します。



■浣腸

 奈緒子は、暗い地下室の鍵がかかった牢屋から出されることなく過ごしました。
 その間、神崎が置いていった「HOWーTO」本を読んで、発声と台詞の練習を講師もなくたった一人で続けました。一片の布切れさえ許されない裸で発声練習をしている図は滑稽に映るでしょう。でも本に没頭している間は嫌なことを忘れることができました。ですが排泄を催し、教本から透明のボウルに目を移すと、とたんに表情が曇るのでした。何度も繰り返していましたが、けして、慣れることはありませんでした。
 奈緒子は何故、こんなことが必要なのか、いまだに分かりませんでした。
 身体についた痣は、神崎の言うように数日で消え、奈緒子はホッと安心しました。そうして下嶋のレッスンが再開されることになりました。
 神崎が縄を手に奈緒子の背に立ちました。
「両手を後ろに回してください」
 奈緒子は、両手を胸にあて、言いました。
「もう、縛らないでください。おとなしく従います」
「それはできません。レッスンに遅れます。下嶋さんを怒らせたら大変です」
 たとえ懇願しても無駄だと悟った奈緒子は、自ら胸で交差した両手を解いて、その手を後ろに回してゆくのでした。そうして背中の中ほどで組むと、両手を強く握りました。手首に縄がかかり、一つに縛られました。
 奈緒子は、手首を動かしてみましたが自由になりませんでした。もうどうにもならないと、諦めの気持ちになりました。
 がっくりとうな垂れると、そっと目を閉じました。そして神崎のなすがままに縛られていきました。縛り終えると、神崎は、奈緒子を檻から出しました。
 奈緒子が入れられている檻からレッスン場までは数百メートルほどでした。その道を久しぶりに神崎に縄尻を握られ、裸で歩かされています。奈緒子は後ろに回った両手を固く握り締め、俯いたままレッスン場に曳かれていきました。ですが神崎がもたもたと歩いているようで苛立ちました。
「早く連れて行ってください!」
 思わず声が大きくなりました。彼女の恥ずかしいと思う気持ちがそうさせるのでした。

3-そろばん統合
 奈緒子には長くつらい道行きが終わり、レッスン場に着きました。入り口の鉄扉を開けると、中では下嶋が何かしら準備をしていました。でも、彼一人ではありませんでした。一人のスタッフが、下嶋の指示で動いていました。奈緒子が入ってきたことに気づいた下嶋は、神崎に言いました。
「来たな。そこの柱に繋いでおいてくれ」
 神崎は二本ある鉄柱の一つに奈緒子を導くと、座らせて縄尻を繋ぎ止めました。
「それでは、よろしくお願いします」
 神崎は、それだけ言うと、奈緒子を見ずに部屋を出ました。
 奈緒子は、とたんに大きな不安に駆られました。ここに来てからずっと面倒を見てくれている神崎は、嫌なこともありましたが、たった一人の心の支えでした。これまで何かあると彼に話し、不安な気持ちを言葉に代えてぶつけてきました。その神崎に去られて、奈緒子は、急に落ち着きをなくしました。鞭打たれた記憶が蘇り、怯えるのでした。
(これから、何が始まるの?)
 一人、ぽつんと固いコンクリートの床にに座って待つ間、少し離れた場所で動き回る下嶋を、怖くてまともに見ることができませんでした。だけども気になって、ちらちらと覗き見るのでした。
 緒子は何かが起きてレッスンが中止になればいいと思いました。でも、そんなことが都合よく起きるわけもなく、やがてスタッフの男が奈緒子の方に歩いて来ました。
「立ってください。準備ができました」
 そう言って縄尻を鉄柱から外しました。
 奈緒子は、初めて顔を合わせるそのスタッフに顔を赤らめ、もじもじしましたが、スタッフの男は奈緒子の裸を見ても、何の反応も示しませんでした。
「行きましょう」
 スタッフは、奈緒子の背中を押して下嶋の待つところまで連れて行きました。そして敷かれたブルーシートの上に座らせました。何が始まるのか不安な奈緒子は、まともに下嶋を見ることができませんでした。すると下嶋が膝を折って座り、奈緒子に聞きました。
「排便は済ませたか」
「?」
 奈緒子は、なぜ、そんなことを聞かれるのか分かりませんでした。下を向き、首を横に振りました。
「そうか。たっぷりと溜まっているわけだ」
 下嶋は、にやりとしました。奈緒子は、落ち着きませんでした。
「これが何だか分かるよな」
 太い注射器を手にして奈緒子に見せました。恐々と首を横に振る奈緒子です。
「分からないのか? これにグリセリンを入れて、お前の尻に注入したらどうなると思う?」
「……?」
 奈緒子は、何を言われているのか最初は分かりませんでしたが、すぐに全てを理解しました。
「い、いや」
 怖くなって、じりじりと後ずさりしました。でも、スタッフに身体をがっしりと掴まれてしまいました。もがき抵抗しましたが、逃れることはできませんでした。
「四つん這いになって尻を突き出すんだ」
 奈緒子は必至に抵抗し嫌がります。
「どうしても嫌なら、あれに縛りつけるぞ。いいか!」
 見ると太い角材でできた固定台が、下嶋の指差す方向にありました。横に組まれた木の先端に、それぞれ手枷がついていました。床には両足首を固定する足枷がありました。首を固定する首枷までついていました。この台に身体を固定されてしまったら、もうどんなに抵抗しても逃げることはできません。
 下嶋は奈緒子に選択を迫りました。どちらを選ぼうと、彼女は、浣腸から逃れることはできませんでした。自ら望むか、体を固定されて無理やり排泄させられるか。
 奈緒子は、目の前が揺らぐのを感じました。唇を噛み、シートに膝を折りました。
「ああ、許して。どうして、こんなことまでするんですか? こんなことをして、どんな意味があるのですか!」
 下嶋は奈緒子に答えることはありませんでした。彼女は、涙で顔をぐしゃぐしゃにしていました。
「お前はただ、黙って俺のレッスンを受けていればいいんだよ」
 そう言って下嶋は、注射器にたっぷりと吸い込んだグリセリンを奈緒子に見せるのでした。彼女は、恐ろしくなって叫びました。
「嫌! こんなこと、やめてください」
 奈緒子は、暴れましたが、強い力で抑えられてしまいました。
「入れるぞ。おとなしくしていろ」
 注射器の先端が、奈緒子の尻の穴にあてがわれました。そして、ゆっくりと、その先の部分を尻の中へ入れていきました。
「あ、あ、あっ、嫌……ああっ……」
 お尻が冷たく感じました。グリセリンが体内に入ってきたのです。
 奈緒子は悶え啼きました。注射器の液が全て体内に注入されました。一度で終わりませんでした。ボウルに移した瓶一本分のグリセリン全てを注入されました。
「一本、飲み干しやがった」
 そう言って下嶋は、あざ笑うのでした。
 抑えつけられていた奈緒子は解放されましたが、体内で渦巻く液体に苦しみました。
「ああ、出てしまいます。ト、トイレに連れて行ってください」
「だめだ。我慢できなかったら、そのボウルにするんだ。ただし、すぐに出すんじゃないぞ。いいと言うまで我慢するんだ」
 たった今、空になったボウルを指差して下嶋は言うのでした。
「そんな。お願い、おトイレに……」
 奈緒子は、必死に叫び、願いました。人前で醜態を晒すことなどしたくありませんでした。もちろん奈緒子の必死の願いは叶えられることはありませんでした。
 我慢の限界に来ました。これ以上は、自分では、もどうにもなりそうもありませんでした。恥ずかしさなどにかまっている場合ではありませんでした。奈緒子は一瞬、下嶋を恨めしく見つめると、透明のボウルに走りました。跨ぐと身を丸く縮めました。
「見ないでえ!」
 その瞬間でした。
「ブオーッ!」
 激しい音がして固体と液体が入り混じり飛び出ました。形が崩れたどろどろとした水気を含んだ汚物が辺りに飛び散りました。出すしかない奈緒子は次々に飛散する汚物の終焉を、ただ待つしかありませんでした。
(あああ……いやっ、ああっ、あ……)
 落ち着いたと思っていると急にお腹が張って、再び鈍い音をたてながら、黄土色の物体が顔を出すのでした。それからまた「ブオッ!」と音がして次々に、押し込められていた汚物が一気に飛び出ました。
 ボウルもブルーシートの床も、奈緒子の周りは汚物にまみれ、異様な臭いが室内に漂っていました。
 大仰に繰り広げられた排泄も、やがて終わりを迎えました。奈緒子は、ボウルを跨いだまま、がたがたと震えていました。
「拭き取ってやれ」
「!」
 奈緒子は、慌てました。
「い、いや」
(もうこれ以上、惨めな思いをさせないで!)
 そう思う奈緒子でした。
「尻を上げてください」
「……お、お願い。縄を解いて……自分で拭かせて……」
 涙顔でスタッフの男を見つめ哀願するのでした。でも願いは許されませんでした。
「ああ、恥ずかしい……」
 惨めでした。見も知らない男に排泄の処理をされるなんて。でも、自分ではどうすることもできませんでした。
 やがて奈緒子は自分の意思は、ここにはないんだと悟り、屈辱に耐えながら腰を浮かせるのでした。肛門にペーパーがあてがわれると、奈緒子は、嗚咽を漏らしました。

■デビュー

 悪夢のような時間が去り、再び檻に戻されましたが、奈緒子は、自分が騙されているのではないかと疑いました。
(最初から、何らかの目的で私を騙して、こんなところに閉じ込めたに違いないわ)
 その時、靴音が響き、神崎が姿を見せました。しかし彼一人ではありませんでした。白髪の髪を、後ろに束ねた、眼鏡をかけた男が一緒でした。
 奈緒子は咄嗟に毛布を手繰り寄せました。頭から毛布をかむると、警戒の目を眼鏡をかけた男に向けました。
 その男は奈緒子をじっと見つめていましたが、やがて、口を開きました。
「あなたが、奈緒子さんですか? 私は、この会社で社長をしている佐伯と言います」
(社長……?)
 奈緒子は毛布の縁をきつく握りました。
「あなたに、良い知らせを持ってきました。芸名が決まりました。それに、デビューも決まりましたよ」
「谷川由希。これからは佐伯プロ所属の女優として、この名前でお仕事をしてもらいます」
 神崎が『谷川由希』と、マジックで大きく書かれた色紙を鉄格子の間から奈緒子に渡しました。
「頑張ってくださいね」
 佐伯はそう言うと微笑みながら、神崎を置いて地下室から出て行こうとしました。
「待ってください」
 佐伯を奈緒子は呼び止めました。彼女には社長と名乗る佐伯に言いたいこと、聞きたいことがありました。
「お願いがあります。私をここから出してください。それに、着るものをください」
 佐伯は、ゆっくりと向き直り、奈緒子を見ました。
「神崎、レッスンは終了したのか?」
「いえ、まだ。もう少し残っています」
「聞きましたか? ここを出られるのはレッスンが終えてからです。もうしばらく辛抱してください」
「私、息が詰まりそうで、もうこ閉じ込められているのは我慢ができません。普通の部屋に移してください。それに……」
「それに?」
「そのレッスンって、何ですか? 私がこれまで受けてきたレッスンは、演技に必要なものなんですか? 本気で鞭を打たれ、身体を傷つけられました。浣腸までされて、無理やり……。そんなことが許されるんですか? これまで、とても惨めな、恥ずかしい思いをしてきました。教えてください。私に何をしようというのですか?」
「あなたが受けたレッスンは、確かに厳しいものです。あなたが何度も涙を流したと聞きました。でも、屈辱的なことも、結果的には女優として実になり、ゆくゆく立派に花を咲かせるのです。下嶋さんは、それを実証してこられた方です。彼を信じているからこそ、あなたを預けることができるのです。これが、女優を傷つけるだけの人でしたら、私どもは、彼をこの世界から追放しているでしょう。警察沙汰にしたくありませんからね。そうなったら、この会社も危うくなってしまう。私は、多くのタレント、社員を抱えているのです。私には、彼らを守る義務がある。社長として、大きな責任があるのです」
「でも……」
 奈緒子は、トイレを使わせてもらえないことや、犬のように食事をさせられていることなども訴えました。でも、佐伯は、奈緒子が、更に何か言おうとするのを遮るように口を挟みました。
「下嶋さんは、きちんとした考えがあって、そういうレッスンをあなたに課しているのだと思いますよ。これまでに彼は、そのようにして何人もの女優を育て、世に出してきました。どの女優も、人気だけじゃなく、演技力でも高い評価を受けるまでに成長しました。今、あなたは不安でしょうが、彼を信じて、最後までレッスンを受けてください。ここは、少し窮屈かも知れませんが、もう少しだけ辛抱してください。そうすれば、ここを出ることができます。そして、私どもが責任を持って、あなたを売り込みます。何か、話したいことがあれば、神崎に何なりと言ってください。頑張って」
 そう言って地下を出て行きました。
 奈緒子は、その後ろ姿を黙って見送ることしかできませんでした。

■そろばん板

 レッスン場に、そろばん板が用意されました。てっぺんに少し丸みのある尖った山が、幾つも連なった一枚の板でした。
「今日は、この上に座ってもらおう」
 由希は、その板を見て目を見張りました。
「脚の上に、そこの石を乗せるんだ」
 下嶋が指差す方を見た由希は驚きました。厚く、平たい大きな石が三枚、積み上げられていました。
 由希は時代劇の拷問シーンで、こういう石をテレビで見たことがありました。見るからに重そうな石で、こんなものを脚に乗せられたら骨が折れてしまうのではないかと怖くなりました。
「座れ」
 由希はギクッとして体が震えました。恐る恐る、そろばん板の上に足の裏を乗せました。先が丸くなっているとはいえ、ぎざぎざが足の裏を捉え痛みました。思わず退きました。
「どうした。座るんだ」
「は、はい……」
 由希は大きく息をつくと再びそろばん板に足を踏み入れました。恐る恐る膝を折って座りました。脛の骨が突起に当たり痛みました。少しずれてみましたが同じでした。
「いいか。重石を一枚ずつ、お前の脚に載せていくからな」
「……あ、あれを、載せるのですか?」
「そうだ。怖いか」
 一枚でも耐えられそうにありません。
 背中の柱に、縄尻を繋がれました。
(もう逃げられない)
 恐怖が、全身を包みました。
「怖い……だめなら、すぐに、石を取ってくれますね?」
 唇が蒼く、わなわなと震えていました。
「ああ、安心しろ……載せろ」
 スタッフに命じました。彼は、一番上の重石を抱え、慎重に運びました。
 重そうに運ぶさまに、由希は、慄えました。重石が目の前に運ばれて来ました。
「い、いや」
 思わず口を突いて出ました。その場から逃れようとしますが、柱に結び付けられた縄が、それを許しませんでした。下嶋の怒鳴り声が飛んできました。
「動くな! 脚が折れちまうぞ」
「載せろ」
 重石がゆっくりと、由希の腿に乗せられました。
「はうっ!」
 ずしりとした重みが、由希の脚を圧迫しました。押し潰されてしまうのではないかと恐ろしくなりました。
「もう一枚、持ってこい」
「ゆ、許してください。これ以上は、無理です」
 由希は、頭を激しく振って訴えました。でも、下嶋は聞き入れませんでした。
「載せるんだ」
 二枚目が運ばれてきました。
「ああ、許して……」
 涙で目の前が霞みました。
「あうっ! くうっ、うう……」
 二枚目の重石に、由希の脚が悲鳴をあげました。みしみしと、音がしました。
 脛の骨が折れてしまうのではないかと怖くて、怖くてたまりませんでした。
「も、もう許してください。石を取って!」
「最後の一枚を乗せろ」
「そんな……許して」
 由希は、涙声で許しを請いました。でも、下嶋には通じませんでした。
 最後の一枚が運ばれてきました。
「載せろ」
 由希は、生きた心地がしませんでした。
「やめて……お願い」
 でも、下嶋がその声に耳を貸すことはありませんでした。
 三枚目の重石を載せました。
「痛い、痛い……取って、お願いいい……」
 しかし、そんな悲鳴も下嶋に届くことはありませんでした。苦痛に表情をゆがめる由希を、彼は、にやりとして見ていました。
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