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奴隷への階段 最終回

2014年04月30日 00:32

【マニアック・アーカイブス】
として、数年前に発行した雑誌に使用させて頂いたマニアックな小説を数回にわたり連載させて頂きます。

作/縄次郎氏 絵/かおる氏のの書き下ろし女囚小説『奴隷の階段』を全5回にわけて掲載します。



「ほんとうに、松下佳織さん、ですか……?」
 由希は、まだ、目の前にいる女性が、女優の松下佳織であることが信じられないでいました。沈黙があって、目の前の女性が口を開きました。
「……そうよ」
「だって、こんなところで会うなんて……ここは、いったいどこなんですか? 奴隷市って何ですか?」
「……私たちのように売られる女性が、これからここに連れてこられるわ。そしてここから出されて入浴を済ませると、高く値をつけていただくために、綺麗にメイクを施されて着飾るのよ。そして、首輪をされて会場へと曳かれて行くの」
「会場?」
「奴隷市の会場が、上の階に設けられるのよ。そこには、私たちの身体を目当てにたくさんの男たちが集まっているの。時には女性が見えることもあるわ。私たちは一人ずつ舞台に上げられて、競売にかけられるの。男たちは、競って私たちの体に値をつけていくの」
「……」
 由希は、信じられない思いで佳織の話しを聞きました。
「そして、誰かも分からない、一番に値を高くつけたご主人さまに買われ奴隷として飼われるの。その後は……」
 そう語る佳織の目から、一粒の涙がこぼれ落ちました。嗚咽し、肩を震わせるのでした。もう、何も言えませんでした。
 佳織が言ったように、一人、また一人と、女が佳織と由希のいる地下の牢舎に連れてこられました。
 後ろ手に縛られ、或いは首輪をつけられて曳かれてきました。そして、牢屋に閉じ込められました。
「おとなしく待っているんだぞ」
「私、これからどうなるのですか? 家に帰してください!」
 必死に叫びますが、冷たい言葉が返ってくるだけでした。
「諦めるんだな。お前の帰る家はない。一生、奴隷として飼われるんだ」
「そんなの嫌! お願い、家に帰して」
 鉄格子を掴んで訴えますが、どうにもなりませんでした。
「いい加減にしろ。鎖につないでおくぞ」
「いやっ!」
 まだあどけない顔つきの少女は、その言葉に怯え、壁際に逃げました。
 そうして女たちが牢屋に繋がれていきました。後にはすすり泣く声だけがしました。
 牢舎に、六人の女が集まりました。まもなく数人の男が地下に下りてきました。

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「出るんだ。風呂に入って、支度をするんだ」
 女たちは、一斉に叫び声を上げました。
 嫌がるのを無理やりに牢から引きずり出され、奥にある浴室に連れて行かれる女がいました。何もかも諦め、うな垂れ従う女がいました。順番に牢舎から出されていく女たちを見て由希は落ち着きませんでした。
 自分の身が売られることなど、信じたくありませんでした。人間が物のように売られるなど、物語の中の出来事と思っていました。自分が、そのことに巻き込まれるなんて……。
「佳織さん」
 由希は、すがる思いで佳織を見ました。でも彼女は、由希に応えることはありませんでした。床に目を落とし、自分が呼ばれるのをじっと待ちました。
 やがて由希と佳織が呼ばれました。
 佳織は牢を出ると、手錠を手にした男に背を向けて、自ら両手を後ろに回しました。ガチャリと音がしました。
 裸に手錠をかけられた憧れの女優を見て、ドレスに身を包んだ自分が恥ずかしくなりました。、佳織が恥ずかしいはずであるのに、彼女は前を見据え、堂々としていました。
 入浴を済ませると、二人はメイクを施されました。そして改めて踝まであるドレスを纏いました。
 下着を身につけることを許されずに身に纏ったドレスは肌が透けて見えました。
 肌にくっついて、乳首が布を突き抜けるようでした。由希のお椀のような乳房が、窮屈そうに布に張り付いていました。
(嫌……)
 目のやり場に困りました。動きようによっては、下の黒い茂みも見え隠れしました。
 化粧を終えると、手錠をちらつかせて男が近寄ってきました。佳織は黙って背を向けました。後ろ手に手錠をかけられる佳織を見て、由希も、おとなしく従いました。ガチャリと音がするのを聞くと、惨めな思いに駆られて顔を伏せました。
 エレベーターに乗せられ、地下から二階まで上がりました。
 扉が開くと扉の前に男が立っていて、由希たちは縄師の前へ連れて行かれました。
「これで全部だ」
「はいよ。こっちの女は縛り終えたから連れて行ってくれ……。じゃあ、佳織から縛るから手錠を外してくれ」
 男は佳織の手錠を外すと、縄を持つ男に突き出しました。
 佳織は、よろよろと前に出ました。
「久しぶりだなあ。元気だったかい。また、あんたを縛ることができるとはなあ。嬉しいぜ。手を後ろに回しな。きっちり縛ってやるからよ」
 佳織は、両手が自由になっても抗うこともなく、縄師に従うのでした。
「どうだい。俺の縄、覚えていてくれたかい」
 佳織は男から話しかけられても、何も答えませんでした。何も聞いていないかのように目を閉じ、真っ直ぐに前を向いて縛られていきました。
「これでいいぜ。どんなに暴れたって、解けるもんじゃねえ」
「次は、あんただ」
 由希は佳織が縛られている間、怯えていました。自分の名前が呼ばれても、膝ががくがく震えて動けませんでした……と、背中を押され、つんのめるように前に押し出されました。
「怖いかい。気持ちは分からねえわけじゃないが、ここまで来ちゃあ、諦めるしかないぜ。変な気を起こさねえで、素直に言うことを聞いてることさ。それが、身のためさ」
 そういいながら、嫌がる由希の両手を後ろにねじ上げると、手首に縄を絡めました。
「い、嫌……」
 もがきましたが自由にはなりませんでした。縄が前に回り胸を締め付けました。由希は身体の自由をなくして、もがくのをやめました。縄師が縄止めを終える頃、由希のすすり泣く声が聞こえてきました。
「おいおい。今から泣いちゃあ、化粧が落ちちまうぜ。その涙は会場のスケベじじいたちに残しておきな。高く買ってもらえるぜ」
 それを聞いた由希は、たまらず声を出して泣きました。

■奴隷への階段

 奴隷市にかけられる女たちは、猿轡を咬まされて、一つの檻に入れられていました。首輪をされ、それぞれに番号札が付けられていました。佳織は五番を、由希は六番をつけられました。女たちは皆、目を伏せて、誰も、目を合わせようとしませんでした。布の下から嗚咽する女もいました。
 まもなくして男がやってきて、一番の札をかけた女を連れて行きました。いよいよ、奴隷市の始まったのです。
 女は自分の番号を呼ばれると恐怖に慄え、何度も首を横に振りました。叫び声は猿轡のためにくぐもったものにしかなりませんでした。
「おとなしくしろ! どんなに泣いたってどうにもならないんだぞ」
 男の言うとおりでした。泣いても叫んでも、誰も助ける者はいません。
 無理やりに檻から引きずり出され連れて行かれました。女たちは、もうまもなく自分の身に起こる運命を思って慄えました。その中で佳織だけは、うろたえることがありませんでした。騒いでもいずれは番号を呼ばれ、飢えた男たちの待つ階下へと曳かれて行くのです。佳織は、じっと一点を見つめたまま、動くことはありませんでした。
 最初に連れて行かれた女は戻ってきませんでした。一人減り、二人減りして、佳織と由希の二人になりました。
(佳織さん……)
 佳織を見つめました。でも、佳織は、じっと床に目を落としたまま、ずっと同じ姿勢を崩しませんでした。
 女たちがここから連れ出されても、泣き叫ぶ声を聞いても、終始変わらず床を見つめていました。やがて男がやってきました。そして名前でなく番号で佳織を呼びました。
 佳織はリードを付けられると素直に立ち上がりました。佳織は、泣きも叫びもしませんでした。ただ男に従うだけでした。
 由希はリードを引かれ遠ざかっていく佳織の背中を鉄格子の間から見えなくなるまで、じっと見つめていました。姿が見えなくなってしまうと、辺りはしんと静まり返り、急に寂しくなりました。檻に由希たった一人が残されました。
(次は、私の番……とうとう、その時がやってくる……。私、売られちゃうんだ)
 そう考えると恐ろしくなりました。
(どんな人が私に値をつけるのだろう。いくらで売られるのだろう。どんな人が、私を買うのだろう。優しい人だといいな。でも……私、この先どうなるのだろう)
「出るんだ」
 ハッとして見上げると、鉄格子の向こうに、リードを手にした男が立っていました。
               (終わり)
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